7-1. 鳴門・徳島エリアの地理的ポテンシャルと将来展望

災害時にも機能する「強い動線」

四国8の字ネットワークは、災害時における代替路（リダンダンシー）を確保するための重要な広域交通網です。
2018年の台風21号では、複数の主要ルートが通行止めとなる中、しまなみ海道が代替ルートとして機能し、人や物流の流れを支えました。
南海トラフ巨大地震が想定される現在、複数の選択肢を持つ交通網の存在は、単なる利便性を超え、地域のレジリエンス（回復力）を支える基盤そのものと言えます。

四国8の字ネットワークは、平時の観光や物流だけでなく、非常時においても機能する「重層的な動線」を形成しています。 

大鳴門橋自転車道が描く、新しい未来 

現在計画が進む「大鳴門橋自転車道」は、インフラを単なる移動手段から、体験そのものが価値となる装置へと転換する象徴的なプロジェクトです。

鳴門海峡を自転車で渡るという唯一無二の体験は、しまなみ海道やアワイチ、四国一周ルートと結びつき、瀬戸内・四国を横断する広域周遊を可能にします。

これは一つの橋の整備にとどまらず、瀬戸内と四国全体を一つのフィールドとして再編集する、新たな循環の起点となる試みだと私たちは捉えています。

瀬戸内一周（セトイチ）の実現は、鳴門を通過点から循環の起点へと変えていきます。 

鳴門市が描く将来ビジョン 

第七次鳴門市総合計画（2023–2030）では、将来都市像として「ひとが輝き 持続可能な未来をひらく あらたな なると」が掲げられています。

重点施策には、

• 四国のゲートウェイ機能の強化

• 体験・滞在型観光への転換

• 持続可能な公共交通網の整備
  
  

が明確に位置付けられており、インフラ整備とまちづくりが同じ方向を向いて進んでいることが分かります。